自動チューニング工学(オートチューニング・エンジニアリング、ATE)
2008年8月28日 片桐孝洋
1.はじめに
私は、いままで行ってきた、自動チューニング機能付き数値計算ソフトウエア、ソフトウエア自動チューニング、および自動チューニングソフトウエア工学の研究を網羅する分野を、自動チューニング工学(Auto-tuning Engineering, ATE)と呼称することを提案する。
2.自動チューニング工学
自動チューニング工学は、以下の図1の観点に基づく、新しい工学分野である。
図1:自動チューニング工学の全体像
図1の自動チューニング工学では、以下の3つの柱がある。
ATソフトウエア建築論(AT・ソフトウエア・アーキテクチャ、AT Software Architecture, ATSA)
性能可搬性を達成するソフトウエアに関する建築論を研究する分野である。これは、我々が今まで提案してきた、ソフトウエア自動チューニングを含む分野である。この分野は、ソフトウエアのモデル化と自動チューニングに必要な最適化の理論を研究する分野を含む。
ATソフトウエア工学(AT・ソフトウエア・エンジニアリング、AT Software Engineering,ATSE)
性能可搬性を達成するソフトウエアの開発に関する方法論やツールを研究する分野である。これは、我々が今まで提案してきた、自動チューニングソフトウエア工学を含む。また、自動チューニング方法論のFIBER、および自動チューニング処理記述言語ABCLibScriptの研究を含む。
AT計算(AT・コンピューティング、AT Computing, ATC)
性能可搬性を達成する計算に関するアプリケーションやライブラリの研究をする分野である。これは、我々が研究してきた、自動チューニング機能付き数値計算ライブラリABCLibの研究を含む。また、自動チューニング機能を有する数値シミュレーションなどのアプリケーションソフトウエアに関する研究も、この分野に含む。
3.おわりに
本稿では、以上の3つの柱からなる新しい工学分野を自動チューニング工学と呼ぶことを提案した。