2005/7/14

■UCBの研究教育について

 □UCBの教授の研究活動について (June 21,2005)

 こちらに来て感銘を受けたことのひとつは、UCBの
教授(Prof.Demmel)は、自分の学会での発表資料の詳細
まで学生と議論するという点です。

 学生も、教授はその分野の権威であるのにもかかわら
ず、素朴な質問から、意見がわかれるような哲学的な質問
まで、直接的に教授に質問し、議論を行います。

 当然これは、教授の性格に依存すると思うのですが、
プロジェクトのミーティングやセミナーなどに出てみると、
このように感じます。

 学生がいいデータをとってくると、授業や学会での発表
に使うので、データをくれ、ということを言います。

日本でも大きなプロジェクトを抱えているような教授は、
学生のデータを積極的に利用するということがあるのか
も知れません。しかし、私の知る限りでは学生の研究データ
をそのまま利用して、自ら学会発表に行くという教授は少な
い気がします。
(そもそも、教授の立場で学会発表する人自体が少ない気が
します)

 これはひょっとして、日本の教授は、自ら研究発表をする
仕事よりも、管理職的な仕事が多いので、細かい実験データ
について、いちいち気にしている時間がないからかもしれま
せん。

 ですが、現在お世話になっているDemmel教授も、この分野
の相当の大家で、かつCITRISという研究センターの管理職的
立場にある教授です。ですから、研究以外の管理業務も忙し
いはずです。
(時々、夜の1時や2時ごろメールが来たりします。
 やはり、遅くまで研究をしている?)

 米国の大学教授の多くを見てきたわけではないので、一般
化できないことを承知した上であえて意見を述べると、これ
はひょっとすると、UCBなどの米国のトップユニバーシテ
ィーでは、教授になっても業績評価が厳しいという、<評価
システム>があるのかもしれません。

 つまり、積極的に研究を自分でしないと、在職できなくな
るような評価システムが存在しているから、かもしれません。

 個人的見解ですが、教授の自ら行う研究でのアクティビテ
ィーが日本より高い気がすることから、日本の大学が米国の
大学に勝る成果を<総合力として>出すことは、容易ではな
い気がします。

 □UCBでの計算機管理体制 (July 14, 2005)

 日本の大学では、助手や大学院生のTAなどが、研究室や学
科の計算機管理を行っています。特に計算機科学の分野では、
ネットワークが関連するので、計算機管理も研究の一部であ
る、と考えられているようです。

 では、計算機科学の分野で世界有数の成果を誇るUCBの計
算機科学科(CS)(SODA HALL)ではどうなっているので
しょうか。大学院生が管理しているのでしょうか。

 結論として、教員や大学院生が計算機管理をすることは
<一切ない>システムになっています。学科には、計算機
管理専用のオフィスがあり、そこに担当の人(おそらくア
ルバイトの学生や業者)が滞在しており、彼らがすべての
計算機管理をしています。

各居室の計算機は、この担当者の連絡先が掲示されていま
す。たとえば、計算機のファンが壊れて音を発しているな
どの状況のときは、この担当者にメールすれば、担当者が
やってきて、なおしてくれます。

プリンターなども、各フロアで共通のものが設置されてい
ます。プリンタが壊れた場合にも、連絡先のメールアドレ
スが掲示されていますので、そこに連絡するようになって
います。(結構よく壊れていて、困りますが)

また計算機管理の費用を、学生個人、もしくはプロジェク
トから取ることで、このシステムが成り立っているようで
す。実際、私の計算機管理費用もプロジェクトから出して
もらっています。(アカウント申請のときに、どのプロジ
ェクトのお金が書かされた。)

どうやらUCBのCSでは、計算機管理と研究とは別物であると
割り切っているので、このようなシステムになっているの
だと思います。それでかつ、一流の成果を出し続けている
ので、計算機管理と研究能力は<別>であることが立証さ
れているのかもしれません。


■米国の生活について

 □英語力について

 こちらに来て4ヶ月が経とうとしています。日本にいる
ときは、3ヶ月もすれば相当英語力がつくと思っていまし
たが、とんでもないことでした。 

 結論として、英語能力の向上は飽和してきた感がありま
す。当然、言語能力の高い人はもっと上達するはずで、個
人差があると思います。

 聞き取り能力は、最初の1ヶ月で飛躍的に向上しますが、
表現や文法的なところの改善はなかなか難しいです。ここ
1ヶ月は、無料の英会話学校に通っており、かつ週2回の
月曜日と金曜日のミーティングに参加していても、このよ
うに感じます。(人によっては、プロジェクトのミーティ
ングがなく、学生とも相室でない客員研究員もいるはずな
ので、もっと深刻なことでしょう)

 実際のところ、週末にかけて英語力が向上し、週末にな
ると家族との会話で日本語を使うので英語能力が下がり、
月曜日にはすっかり忘れてしまう、という繰り返しのよう
です。

 10年ぐらい米国に在住している日本人に聞いてみると、
一年ぐらいの滞在ではたいして英語能力は改善されないと
のことです。実感として、そのように感じます。しかし、
2,3歳のときに外国に滞在すると、帰国後英語を忘れて
しまっても、発音はネイティブとかわらないものが残るそ
うです。

 いまうちの子供は、月ー金で日本人のいないプリスクー
ルに通わせているので、帰国後どうなるか楽しみです。

 □フリーウエイ体験

 こちらに来て、オークランドの動物園に行くために、初
めてフリーウエイに乗りました。感想は、<怖かった>で
す。

 その理由は、まず車線が5車線以上と多い上に、頻繁に
高速で車線変更してくる車があるからです。実際、フリー
ウエイに乗ると事故車をよく見かけますが、あれだけ不用
意に車線変更する車が多いのでは、事故が多くて当然に感
じます。あと、日本の高速道路のように、看板や路線がよ
く整備さえていないので、それも日本人にとっては怖い原
因のようです。

 ただ、フリーウエイというだけあって、<無料>で普通
の道からつながっているので、利用しやすいという点は日
本よりいいです。